平成28年度(2016年度)

星空公団では、環境省が25年間にわたって続けてきた全国星空継続観察が休止となることから、その代わりとなる星空公団独自の夜空の明るさ観察を実施しました。これは、これまで25年間連続してきた夜空の明るさのデータがいったん途切れることを防ぎ、継続的なデータの蓄積につなげていくための試みとして、全国のみなさまにデータ提供の協力を呼びかけ、実施したものです。

全国星空継続観察は、星空観察という身近な方法で大気環境の調査を行い、大気環境保全に関する国民の意識を高めることを目的として、昭和63年より実施されてきた事業です。この事業では、肉眼や双眼鏡を用いて星空の見え方の違いを比較する方法や、夜空の写真から背景の明るさを測定する方法で夜空の明るさが継続的に調査されてきました。調査には全国の多くの団体が参加し、わたしたちを取り巻く大気や星空といった自然環境に目を向ける非常に効果的な活動となっていました。また、測定された夜空の明るさは、上空に漏れ出した地上の照明光が、大気中の水蒸気やチリ、黄砂などによって散乱された結果であり、大気環境の保全のみならず、夜間照明の効率的な利用を考える上でも重要なデータとなっています。

しかしながら、この全国星空継続観察については事業仕分けにより予算がカットされ、またデータの集計を行っていた全国星空継続観察システムの運用についても平成24年度末をもって休止されました。それに伴い、平成25年夏期以降は当面の間、この事業が行われないこととなり、25年間にわたって連続してきたデータがいったん途切れる恐れが生じています。星空公団では、継続的なデータを蓄積するため、全国星空継続観察で行われてきた調査のうち、特に継続が必要と思われる「写真撮影による調査」について、全国のみなさまのご協力のもと、これまでと同一の方法でデータを取得し、分析を行う調査を実施しました。

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調査方法

定点観察地点(全国21地点)を含む全国において、デジタルカメラを用いて天頂付近の星空を 一定の条件 (シャッタースピード30 秒、ISO感度 800、1枚撮影) で撮影する。この天頂付近の星空を撮影したデジタルカメラ写真から夜空の明るさを表す 「等級(mag/□")」を単位とする「夜空の明るさ」を求める。この「夜空の明るさ」の値が大きいほど夜空が暗いことを示し、星空の観察に適した状態になる。なお、「夜空の明るさ」は、デジタルカメラによって撮影されたデジタル画像を処理することで測定し求めている。

平成27年度から撮影条件を「30 秒、60秒、120 秒の順で各2回(計6枚を撮影)」から「シャッタースピード30 秒、ISO感度 800、1枚撮影」に変更した。この目的は、レリーズを不要とし撮影枚数を減らすことで測定方法を簡潔にすることである。シャッタースピードを30秒と短くし、ISO感度を800と高くした。よって、得られる結果は以前と変わらない。

夏期調査期間として平成28年7月24日(日)~8月6日(土)、冬期調査期間として 平成29年1月18日(水)~1月31日(火) を設定し、全国に調査を呼びかけた。調査の実施状況を表 1に示す。全国のみなさまのご協力により、調査期間内に夏期は定点10地点を含む48地点で、冬期は定点11地点を含む132地点で調査を実施し、夜空の明るさの分析を行った。

表 1:平成28年度
調査実施状況
夏期調査冬期調査
定点10地点11地点
一般38地点121地点
合計48地点132地点

調査結果

同一観察地点での観察結果の推移

まとめ

図5に、星空公団で調査を開始した平成25年以降の全観察地点数の推移を示す。本年度夏期は調査期間中、天候不順の日が多く昨年度よりは減少した。しかし、全体としては増加傾向にあるといえる。これは全国の多くの方々にご協力いただいたことを表しており、平成27年度より測定方法を簡潔にしたことが理由として考えられる。

図 5:全観察地点数の推移

図6に、定点観察地点数の推移を示す。前述の通り全体の観察地点数は増加傾向にあるが、定点の観察数は変化しておらず全21地点数中、半分程度の実施にとどまっている。調査に参加できない理由としては、天候不順の他に以下の点がある。

  • 観測者(委託)の勤務状況により観測日時が制限されている点
  • 調査方法がデジタルカメラに変更後、施設や自治体に機器がないため観測者個人のカメラを使用しており、他者による観測が困難な点
  • 観測地点の施設や自治体で、担当者(観測者)が代わる際の引継ぎがうまく行えていない点

現在、これらの理由により夏期・冬期ともに欠測の地点が多く、継続調査に支障が出てきている。今後は、引き続き呼びかけを行うと同時に、測定を自動化するなどの技術的な支援等、調査を継続する方策が望まれている。

図 6:定点観察地点数の推移

図 3と図 4の同一地点での「夜空の明るさ」の推移から、この5年程度で夜空が暗くなっている傾向がみられる。継続した観測を行い、今後の推移に注意する必要がある。さらに、全ての定点観察地点について今までの測定結果を整理し、変化の推移をみていきたい。

謝辞

本年度の夜空の明るさ観察は、環境省の後援を受けて実施いたしました。ご支援に感謝いたします。